帰国子女でもなく、幼稚園から高校まで秋田の公立学校で勉強していたにもかかわらず、いきなりカリフォルニア州立大学(CSU)に進学したという尾形さん。留学の方法を知っている先生や先輩も見つからない中、どうやってアメリカに留学したのでしょうか。なぜアメリカへの留学を決意したのでしょうか。将来はどんな夢を持っているのでしょうか。気になるすべてをインタビューしてきました。

 

 

高二の夏に参加したプログラムが留学を目指すきっかけに

- これまでの経歴を教えて下さい

秋田出身なんですけど、ほんとにもう幼稚園から高校までずっと秋田で、普通高校に通っていました。
普通の公立で育って来ましたし、アメリカ大好きとか、将来は英語を使った仕事を使用とかは別に考えていませんでした。

転機は高校二年生の時です。保険会社のAIUが主催している日米交流プログラムに応募してみたら、たまたま受かっちゃったんです。
プログラムの概要としては日本人の高校生40人をアメリカに送っていろいろな体験をさせ、逆にアメリカ人の高校生40人を日本に送っていろいろな体験をさせるというものでした。
3週間だったんですけど、WashingtonDC NewYorkとかいろいろなところを回りました。

その経験の中でも一番大きかったのはPrinceton大学に1週間いたことです。
寮で共同生活をしながら文化的な交流をしたり、経済とかについての真面目な話をしたり、簡単なディベートとかもしました。


 

「意外にアメリカでもやれるじゃん」という感覚


- 英語でですか?

英語です。学校でも英語の成績は良かったので特に困ることはなかったです。


- そのときが英語圏は初めてですか?

初めてです。そもそも初めて海外に行きました。
僕は結構暗記型で、単語覚えるのが得意でした。とりあえず英単語を覚えていたので適当に組み合わせることでなんとかなりました(笑)

もちろん深いところはなかなか難しいけど、ゆっくり考えて組み立てて喋ればなんとかなりました。
ロジカルにしゃべる傾向があるアメリカ人と、大人な会話というか論理的な会話ができたということが初めての経験ですごく面白かったです。

そんなわけで高校二年生の夏休みが終わりまして。
高2の夏というと先生と進路について話しあう時期で、僕は東京外語大を第一志望にしようと思ってやっていました。
でもプログラムを経験して帰ってきたら、アメリカで勉強したほうが有意義かもしれないと思い始めました。
アメリカで経験した大きいことを何かに繋げられたらなと。
それでアメリカの大学に行こうと決心しました。何を勉強するかというのはまだ決まってませんでしたけどね。


- その時にアメリカに行きたいという気持ちが湧いたんですね。
 

湧きました。基本的に日本の普通の公立の教育しか受けていないので、その時英語四年目でしたが、ちゃんと自分の英語が通用するんだとわかりました。
みんな日本の英語教育は良くないって言うけれど、ちゃんと勉強すれば何も困ることはなくてコミュニケーションはゆっくり話して考えながら喋ればできるんだということをアメリカに行ってからわかったことです。

もしあの時アメリカに行かなかったらそのまま就活をして最終的には英語と関係ない生活を送っていたんじゃないかと思います。

 

- 専攻と大学は何を選んだんですか?

大学で何を勉強するかって言ったら自分の好きなことをやろうと思いました。中学2年生の時からずっと好きだった写真、映像系を専攻しようと。
そのあとでいろいろ調べて場所はサンフランシスコ州立大学に決めました。


 

TOEFLは1発で合格
 

- 受験のアプライはいつ頃しましたか?

僕の場合、サンフランシスコ州立大学の映画科は人気の大学なのでapplicationの申し込み自体も早くなっていたので、高校3年生の10月末までに必要な書類を集めて提出しました。

必要だったのは以下の3つです。記憶が曖昧なのですが、推薦状は1枚か2枚必要だったと思います。ミニエッセイも書きました。アメリカの公立大学なので、StanfordやHarvardとかと違って簡単に入れましたね。

◯高校の卒業証明書(見込み)
◯校長か教頭の推薦書
◯エッセイ
◯TOEFL



- 推薦状とかって、ぱっと書いてもらえましたか?

僕は普通科だったんですが、高校の英語科の先生と仲が良くて。その先生に教頭の手紙を英訳してもらったりしました。

 

- 教頭先生には日本語で書いてもらったんですね。

はい。それを英語科の先生に訳してもらいました。

 

- 準備し始めたのはいつごろだったんですか?

高校3年の始まる前には日本の大学はもう受験しないと決めていたので、4月か5月くらいから準備を開始しました。日本の大学を受けないと言ったら担任には「お前頭おかしくなったのか?」と言われたけど、「まあ、僕のことですから好きにさせてください。」と言い切りました(笑)。


- TOEFLは何点くらい必要だったんですか?

iBTスコアで60点が必要なラインでしたが、高校3年生の8月くらいに一回だけ受けてその時に65点取れました。
大学によっても変わるし、州立大学とかじゃなくて普通にアメリカの大学に行こうとしたら80は必要ですし、もっととったほうが良かったなとは思いますが。
でも、とにかく必要な点数は1発で取れました。



留学はとにかく情報が少ない。


- 準備をしている時に大変だったことは?

ひとつは情報が少ないこと。自分で探さないといけません。
でもネットで調べていると情報が古かったりとか、本当に正しいのかわからないので手探り状態。
高校の先生もわからないし、うちの高校から過去にアメリカ留学した卒業生もいないので全然わからない。

でも、東京に留学予備校があったのを知って、そこの週末クラスみたいなところをオンラインで受講したのっでなんとかなりました。エッセイの書き方とかも、留学予備校から情報をもらって手続きとかも進めていった。


- 何処の留学予備校に通っていたんですか?

ヒューマンアカデミーという留学学校でした。東京と大阪にあります。
結構エッセイの書き方とか教えてもらえたので今でも役立っているし、入学手続きとかの情報も正しいものがもらえたで良かったです。高かったですけど。


- 留学予備校っていくらくらいなんですか?

1年で60万円くらいでした。留学の準備開始した4月から翌年の4月くらいまでで。


- どうやってサンフランシスコ州立大学という学校を選んだ?
予備校が押してきた & 自分で調べても映画で有名だったというのと半々ですね。サンフランシスコは都会だから面白そうでしたし。
まあ留学予備校としては入りやすいところを勧めてくるんですよ。
実は、サンフランシスコ州立大学はアメリカでもっとも留学生が多い大学なんです。日本人も常時100人以上います。



州立大学は書類さえ用意できればいける
 

- なるほど〜。知ったきっかけは予備校だったんですね。一校だけしか受けられなかったんですか?

そうです。アプリケーションは複数出せるんですが、9月の頭の時点で結果が出てTOEFLが取れていたので、SAT(アメリカ版センター試験のようなもの)を受ける必要がなかったんです。
リクワイアーメント(必要事項)を満たしているので合格は確定って感じでした。
 

- エッセイとかも出す前の段階で合格確定って感じだったんですか?

もちろんよっぽど変なものを出すと落ちてしまうこともあるけど、リクワイアーメントとして必要なもの(書類やテストのスコア)がきちんとあれば問題なく行ける感じです。


- その前に大学と面接とか、なんらかのやり取りをしているわけではなくて?

はい。


- じゃあrequirementさえしっかり満たしていて、書類とかしっかり出せば受かる感じなんですか?

はい。サンフランシスコ州立大学は留学生の誘致に力を入れているのが理由だと思います。
当然StanfordやHarvardは無理だし、求められるrequirementは違ってきます。SATは必須だし。
サンフランシスコ州立大学は入るのが簡単っていうのはありました。


- あ、ところで海外大学は高校の成績が必要だったりしませんか?

まあ、高校の成績は良かったので問題ありませんでした。日本の大学に行けなかったから海外の大学に行ったとか思われたくなかったので、学校の勉強もちゃんとやりました。
しっかり留学の準備もして、4年生大学に入ってきっちり4年で卒業しようと思っていました。


Q- 力強いですね。

やることちゃんとやってないと親が怒るので(笑)。



留学してからはカルチャーショックの毎日


- あと1年間というところで、これまでの大学生活はどうでしたか?

毎年いろんな違うことがあって楽しかったです。


- 楽しかったエピソードは?

1年生はカルチャーショックの毎日でした。1年生で入学したら、大学の寮に入ったんですが、1部屋に2ベッドでルームメイトがゲイの人だったんです。ゲイだから嫌だったというわけではないんですが・・・

まず最初に部屋のルールを作ったんですね。お皿は自分で洗う、とかアタリマエのことです。
そのルールの中に、ガールフレンドを呼ぶときは事前にルームメイトに話そうというルールがありました。
でも、後で気づいてみたら彼の場合は連れてくるのがボーイフレンドなんですよ。
「だからルールは破ってない」と言い張って、僕が病気で寝てる時にも彼はボーイフレンドを連れ込んだりしていた。

僕の方も頑張って英語で怒るんですけど相手にされませんでした。結局彼はお皿も洗わないし、僕の食べ物も食べちゃうし。毎日が戦いでした。ひとによって違うと思うんですが、僕の場合は運が悪かったですね。
他の日本人の友達のルームメイトはみんないいやつでしたよ。話もわかるしお皿も洗うし。
そんな感じで最初の1年間は寮で過ごしました。


- それは色んな意味でショックでしたね。

まああれはあれで口論する力が身についたので良かったと思います。何事も経験かなと思っているので。いいことも悪いことも。

    


勉強は大変?

- 勉強の方はどんな感じでしたか?

大学によっても違いますけど、基本的に学位を取るには120単位が必要なんです。

まず入学すると英語のクラスと、基礎的なGE(General Education)のクラスが始まります。
GEというのは高校の復習みたいな感じで、アメリカの歴史とかScienceとか生物学とか科学とか物理とかをやります。
最初の2年間のうちにGEで60の単位が必要でした。後半の二年間でメジャー(専攻)のクラスの単位を60単位とります。
1年が2セメスター(学期)なので、だいたい1セメスターで15単位くらい取りますね。


- なるほど。

もし後輩にアドバイスするとしたら、実はメジャーのクラスは最初のうちにとっていると後が楽ということです。
メジャーのクラスには順番があったりするんです。そのため、1〜2年生のうちにメジャーのintroductionのクラスとかはとっておくと後々取れるクラスが多くなって楽になります。
逆に、そうしないと3年生になってまずはintroductionを必ず取らなければならず、取れる授業が限られてしまいます。
夏休みや冬休みにも授業が取れるので、1〜2年生のうちにそこを利用してGEの単位数を稼ぎつつ、メジャーのクラスintroductionとかもとっておくのがいいと思います。


- 夏休みとか冬休みにも取れるんですか?

そうですね。たくさんあるわけではないし、学部によっても違います。
入った時はそういうことが全然わからなくて、幸いな事にシネマは結構簡単に卒業できる学部のうちの一つなので今は困っていないですけど。
これから留学する人は注意した方がいいと思います。


- そういった情報って誰に教えてもらえばいいんですか?

基本的には日本人のアドバイザか、日本人の先輩ですね。

①日本人のアドバイザ
日本人のアドバイザが学校内にいて、彼が一般的な流れはだいたい教えてくれます。でもすべての学部の中でのアカデミックリクワイアメントとか学習計画の話は彼も知らないので、学部で確認する必要があります。そのため教授と早めに仲良くなって質問しとく必要があります。

②先輩
大学に日本人の先輩がやたらといるので、先輩に日本語で説明してもらうとすっごいわかりやすいです。そういう意味ではサンフランシスコ州立大学はすごくイージーだと思います。他の大学だったら全部英語で理解しないといけないから大変だと思います。


     


大学の外にも活動の輪を広げ、きゃりーぱみゅぱみゅさんの撮影にも参加


- 2年目以降はどんな生活をされていたのですか?

将来撮影の仕事を中心にやっていきたいと思っていたので、2年目からは、大学の外にも出てみました。現地のコミュニティやボランティア活動などです。1年生の終わりごろからはJapan Townという日本人のコミュニティに参加しています。毎年4月に桜まつりというイベントがあるのですが、これに写真撮影のボランティアとして参加しています。そういうのを自分からやるっていう人がいなかったので、スポンサー向けのビデオも作成しました。こういった活動を通して学生じゃないアメリカ人(日系だけど日本語はしゃべれない)と仕事として付き合う機会もあり、楽しかったです。あとはJPOPサミットというイベント。こちらも3年連続ボランティアをしています。この前はきゃりーぱみゅぱみゅさんも来たので、その撮影とかもしました。あとは、これが一番大きいと思いますが、スタートアップとか日本の新しい起業家の人がいっぱい来ているのでそういった方とお話させていただくことも多いです。こうやって動画や写真を撮ったり、実務的なことが経験できているというのはすごいことだなあと思います。サンフランシスコに来てよかったです。日本人もいっぱい居るから、最初は日本語だけになるかなと思ったけど、意外に英語でも頑張れるなって感じです。         


 

家賃は高すぎるので、今はオススメしない


- サンフランシスコほんといいですよね。好きです。

まあでも今はサンフランシスコおすすめしませんよ。


- え、そうなんですか!なんで?

家賃が高すぎるんです。
まともに日本とか東京とかでイメージしている金額では住めないですよ。

具体的な数字で行くと、

寮:家賃
1年目:$1260(光熱費込み、相部屋)
2年目:$1000(人の家の間借り)
3年目:$1200(1部屋)

って感じです。めちゃくちゃ高いです。ルームシェアしてるのに10〜15万円とかになります。


- 家賃って高いんですね・・・

やっぱり毎年家賃が上がってますね・・・。
特に、ルームシェアじゃなくて個室を借りるってなるとかなり高いです。

ただ英語が勉強したいとか曖昧な目標で来ると、ただ家賃が高いだけでめちゃくちゃ大変だと思います。
だからSFの家賃の高さを抜きにしても、SFで何か自分の経験が得られるような勉強をしたいという人はいいと思います。
SFでこれをやりたいっていうのがしっかりあればリターンも大きいと思います。


- 他になにかこっちで暮らしてみての感想ってありますか?

日本とぜんぜん違いますね〜。こっちのほうが僕は好きですけど。
あと、治安が良くないです。
良くないというか、ストリート一個挟んだだけでもぜんぜん違うんですよ。銃もあるし。

普通に暮らすんだったら日本のほうが安心安全って思うんですけど、それでもアメリカ、特にSFのほうがいろんな人種・人がいっぱいいて、楽しくやれるし、様々な問題を解決しながら生きていくのも醍醐味の一つだと思います。
 

- 今は大変なところを教えてくれたと思うんですけど、どんなところが好きですか?

日系のコミュニティに行くと、いろいろと還元してもらえるところです。
写真やビデオを撮ることで、いろんなプロジェクトに参加させていただきました。
日本の大学に進学してたら出来なかったと思います。こういうところで実務的なことが沢山経験できました。

今も少しインターンシップやっています。日本とアメリカはインターンの仕組みが違っていて、paid(有給の)インターンが多いです。
僕がインターンしているのは日系の会社ですけど。英語でのメールとか日本語でのメールとか実践的なことが学べてるなという感じがします。



卒業したら映像制作の仕事に就きたい


- これまで、高校の時と現在の話をお聞きしたので将来の話もお聞きします。卒業後もアメリカに残りたいと思いますか?

僕はそうしたいと思います。ですが、言うほど簡単ではないのかなとも思います。
というのも、ちゃんと4年間で卒業して就職して、それからは親の援助を受けないという約束で留学しているからです。
なので、もう一年いるとか、大学院に行くとかはうちのルールではないんです。

そのため、来年卒業したらどこかに就職しようと思っています。
第一志望としては映像の制作をアメリカでやりたいです。せっかくアメリカでの映像の作り方を勉強したので。
でも、アメリカの方で残るためには雇ってくれる会社を見つけないといけない。
OPTで、アメリカの会社で1年間インターンシップを出来るので、そこでまずは映像制作の会社で働きたいと思っています。
 

- paidのインターンができるので、そのまま就職したいというイメージですよね。

そうです。でも、生活のためだけに就職するようなことは良くないかなと思っています。
OPTを一年やったあと、その会社が「さよなら」と言って雇ってくれない場合もあります。結構多いらしいです。
でもそうなると日本の会社では新卒じゃなくなって、日本の会社で働く道が狭まります。

OPTをやる場合は将来的に自分が残って頑張れる、キャリアアップができると確信できなければいけないと思っています。
何でもいいからアメリカに残るというよりは、ボスキャリで内定しっかりもらって帰るほうがいいと思っています。
自分の整理もつくし、親にとっても安心してもらえるし。下手にアメリカに残るよりはそっちのほうがいいのかなと考えています。


- ちなみに、映像制作としてやりたいのはハリウッドとかですか?

いえ、映画というよりは広告の方をやりたいと考えています。制作会社でインターンしてから、会社を変えていろんなことをやっていきたいです。最終的にはフリーランスでやりたい。
OPTの段階で何でもいいから制作の会社に応募して働くみたいなことはしたくないですね。遊んでもいられないので。



日本の高校生へ一言
 

- 最後に日本の高校生に一言お願いします。

アメリカで挑戦したいって思ってるんだったら、日本人でも勉強次第で絶対に可能です。
日本人だから英語ダメとかは全く無くて、ちゃんとやればできます。

ただし、単純に海外行ってみたいからとかとりあえず行くというのは僕はおすすめしません。学費も高いので。
僕が来た時は1ドル80円の円高でしたが、一時130円になったので学費が全然変わっちゃいました。

僕の言ってるSF州立大学で、安いんですけど一学期に15単位とって$9000
てことは一年で$
18000です。
サンフランシスコ州立大学は一番安い大学ですが、それでもここまでかかるんです。

だから、とりあえず簡単な気持ちで来ちゃうっていうのは僕はあまりおすすめしません。
ちゃんとした目標を持って勉強する、将来のプランをちゃんと考えて家族のサポートも得ながら留学するのが大事です。
憧れだけじゃ何にもできない。自分がどう行動するのか、現状を確認して最終的に決断するというのが一番大事です。



〜編集後記〜

サンフランシスコは留学しやすく、学習する環境としてはとても良いと感じた一方、学費や家賃がとても高いことにも驚きました。
大学に通う間に学費だけで1000万円くらいかかり、生活費も入れたら2000万円くらいかかってしまいます。

学費などのコストがとても高いこともあってか、緒方さんも含め、アメリカの学生はとても将来設計にシビアです。
極端な話、大学に払った以上に、卒業したらその分高い給料を稼いで元を取れるのか、ということをとてもシビアに計算しているなあと感じました。

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